ホパラタ或はオパルパの例

[#ここから2字下げ](知里真志保――アイヌ民族研究資料、第二、第123頁より)[#ここで字下げ終わり][#ここで小さな文字終わり] ホパラタとは北海道の南部方言地帯(胆振及び日高国沙流郡)に行われる語であり、ホ(陰部)パラ(ひろげる)タ(打つ)の意味である。北部方言の地帯ではオパルパと称する。オ(陰部)パルパ(ひろげる)の意味である。そのような行為をする時は、その場に適当した呪文を唱えたものと信じられる。山中で猛熊に出会った際にオパルパしながら唱える呪文は記録されている(後出)。尚、北見の美幌では、悪口に「オソロ・サンケ・フスー・フスー」というのがあって、土地の人は「尻を出してぶっぱなせ」の意に解しているが、これはもとオパルパを云ったものであって、「陰部を露出してフスー・フスーと唱えよ」の意味である。フス(hus!)はフッサ(hussa)と云うのと同じく、本来は魔を追う息吹きの音であるから、オパルパの際はフスー・フスーと息吹きを発するものであったことも想像されるのである。 ホパラタ或はオパルパの例を次にかかげる。

例1 小娘ホパラタして敵の目をくらまし賊群   フンドシをはずして逃げたということ

 鵡川の上流にあたる穂別村の栄駅と豊田駅との中間にハッタルウシップのチャシコッ(砦趾)と呼ばれている遺跡がある。 昔、附近の部落のポンメノコ(小娘)が、チャシ(砦)の川向うの平地に下りて畑を耕していたところへ、日高のハイ地方のアイヌの※[#半濁点付き片仮名ツ、1-5-93]ヌウォシの率いる一隊が川下の方から攻め上ってきた。あやしい者共の襲来に気のついたポンメノコは、急いでモウルをまくって前屈みになり、お尻を出してホパラタしながら逃げ出した。日高のアイヌはそれを見たら目がくらんで、小娘の姿を見ることができなくなってしまったが、ややあってチャシに登って行く小娘がちらと見えた。それで日高アイヌはチャシの所在を知って砦下へと攻めよせて来た。 一方、チャシの方では、あいにく男たちが皆山へ狩りに出かけてしまって留守だったので、一人の老婆がカマナタ(鎌山刀)の目釘のゆるんでガタガタになったやつを振って、カッタカッタとならしたので、その音を聞いた※[#半濁点付き片仮名ツ、1-5-93]ヌウォシの一党は「ここには人喰い刀のイペタムはないと聞いていたが、あの音こそ人喰い刀にちがいない」と急におじけついて逃げ出した。その時※[#半濁点付き片仮名ツ、1-5-93]ヌウォシ達は着物をまくり、チホッケ(褌)をはずして一物をさらけ出し、ホパラタしながら逃げていった。[#ここから1段階小さな文字][#ここから2字下げ]

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